茨城県言語聴覚士会 TOP > スポンサー広告 > スポンサーサイト> エッセイ > 47. 本当にあった話(後編) -エッセイ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

47. 本当にあった話(後編) -エッセイ

本当にあった話(後編)

 前回の粗筋:宮本さん(仮名、背景は一部変更)と訓練室で向かい合った私は、奥さんとの会話に言及してしまった。その時、深くうな垂れた彼を目にするのだった。)

彼はうな垂れたままの格好で話し始めた。「そうだよ、俺はこんな体になって、仕事もできなくなった。子どもたちもまだ小さい。」蝋人形のように、微動だにしない。呼吸もしていなければ、口元すら動いていないのではないか…。「あ、あの。宮…、」いつもの様子とは異なり、明瞭で、全く病前と変わらないのではないかというそれは、彼の声道を通してではなく、四方の壁にスピーカーが埋め込まれ、そこから発せられているかのようであった。脳に直接届いているかのような錯覚を呼ぶその音声は、私の全ての動きを一瞬停止させた。目と耳は彼から離すことができない。「―――――お前のせいでこんなことになった。お前のせいだ…。どうしてくれるんだ…!」
面を上げ、両の目を真っ直ぐ私に向けたその表情は、どこか虚空を捉えているかのようだがしかし激しい怒りをたたえていた。おもむろに立ち上がったその足元はしっかりとしている。「え…。」あまりの豹変に、私は思わず立ち上がり、少しでも早く、少しでも遠くへ、その場から遠ざかろうとした。しかしあろうことか、窓を背にしてしまったのだった。
それを見逃さなかった彼は、優雅な足取りでドアに向かい、後ろ手で鍵をかけると、ゆっくりと私に近づいてきた。素早い手付きでブラインドを下ろしてから、立ちすくんだまま怯える私の体の両脇に、彼は思い切り手を突いた。「どうしてくれるんだ、え、どうしてくれるんだよ…!」(ああ、殺される…!)目の前に立ちはだかった彼に見下ろされた私に、蛍光灯の白い光はもはや届かなかった…。

そんな夢を、見ました。

  1. 2011/04/04(月) 09:16:46|
  2. エッセイ

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。