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65. 振り返って -エッセイ

「筑波山」

所属:病院ST 氏名:NM

2009年の初詣に初めて筑波山に行きました。バス停から筑波山神社まではあっという

間で、参拝後は山頂へ行くために、ケーブル乗り場へ向かいました。しかし。その途中、

筑波山山頂まで片道90分で登ることができると知った私は「登ってみよう」という軽い

気持ちで登山コースを選んでしまいました。登山開始10分程度で「何でケーブルを使わな

かったのだろう・・・戻りたい」という思いが募りました。決して上りやすいとは言えな

い道、準備不十分な自分・・・。一人で登っていると「今から下山してもまだ間に合う・・・」

そう何度も何度も思いながら、「もう少し頑張れそう。」と重たくなっている足を動かしま

した。登山中は何人もの人に追い越され、そのつどにダメだなぁと感じながらも登っていけた

のは、下山してくる人、追い越していく人の声掛けに励まされたからでした。しかし、登山

者の多くは夫婦や数人の仲間のグループで、私のように一人で登っているものは多くはあり

ませんでした。「このまま山頂まで孤独だなあ・・・」と感じていると、不意に後ろから

「若い女の子が一人ですごいねー、うちの孫は男なのにケーブルで家内と行っちまったよー」

と気さくに話しかけてくれた男性がいました。意気投合した私たちはそのまま一緒に山頂ま

で登ることになりました。山を登る気など全くなかった私だったため、飲み物やタオルなど

の登山に必要なものは何ひとつ持っていませんでした。しかもブーツにジャケットという

格好・・・、その状態を知った男性は私に自分の持っていたタオルと飲み物を差し出してく

れました。

 地元を出て、STとして沢山の人と接することができ、一人ひとりから沢山のあたたかい

気持ちをいただきました。そして、病院外の人との関わりが少ない私にとって、プライベート

でこんな風にあたたかい気持ちになれたのは久しぶりでした。その男性のお孫さんが私に

飴をくれました。帰りのバスを待っている私に昔からの知り合いであるかのように世間

話をしてくださった女性がいました。地元を離れ、もうすぐ一年が経とうとしています。

地元とは違った人々の雰囲気に今も戸惑うことがあります。けれど、地元ではないからこそ

味わうことのできる一瞬一瞬の場面に私はとても幸せな気持ちを感じます。未熟で子供な私

ですが、少しづつでも成長すれば、いつかあの男性のように誰かに手を差し伸べることが

できるのかなぁ・・そうであったらいいなぁと思った一日でした。
  1. 2011/04/05(火) 09:59:18|
  2. エッセイ

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